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人らしさを利用したシステムとは

2014年7月1日講義 ロボットSFの可能性
大澤 博隆先生

 人らしさを利用したシステムとは一体何か、グループでこれを話し合い、一番はじめに、介護の現場にあたり、身寄りのないお年寄りの話し相手になるような、対話システムがよいのではないかという案が出た。自分の話を聞いてくれる何者かがいれば、お年寄りの孤独が少しでも薄れるのではないかと思ったのである。ほかにも布団から起き上がるのを補助するだとか、ひとの形をとらずに、布団そのものがしゃべり、介護もするのが良いのではないかという話になったのである。

 

 そこから話は対象をお年寄りに限定せずともよいのでは?という方向へ向かった。そうなると、布団だけにシステムを与えるのでは足りない。ではいっそ部屋全体が話すのはどうだろうか。そこに介護要素を加えては?朝はもちろん起こしてくれるし、バランスのとれたご飯も自動で用意してくれる。洗濯も自動で干すし、雨なら外には干さないでくれる。これらは人の形をしたロボットではなく、あくまでもシステムがそれらを行うため、部屋自体をロボット化する必要がある。

 

 しかしさすがに部屋それぞれの機能すべてをシステムによって管理し、家具として一緒にロボット化というのは無理があるし、なによりも人として堕落しきってしまう!ということになった。そこで私たちは、生活を支え、堕落させるまではいかないシステムは、いったいどのようなものかを改めて話し合った。

 

 そして、「ナビゲーター」システムを部屋そのものにつけるのはどうかという意見がでた。

たとえば朝ご飯を作るのも、洗濯を干すのも、実行するのはあくまでも自分だが、ナビゲーションシステムは、朝ごはんのおすすめレシピだとか、その日の天気予報を確認した上で、部屋干しが良いだとか、このような服装をするのがおすすめだとか、家主をサポートする情報を提示するのだ。

ナビゲーターにはお母さんタイプや執事タイプなどのキャラクター性をもたせた方がおもしろいのでは?との意見もあったが、あまりにシステムに人間らしさを追求してしまうと、感情移入過多となって、かえってむなしさを覚えたり、人の形をしたものを求めたりしてしまうことに繋がりかねないため、ある程度の機械らしさは必要である。ここが、人とシステムの境界線として重要なボーダーラインだと実感することになった。

 

 結果的に、Android端末の、「しゃべってコンシェル」のような、なにか動物などのコミカルな形をしたキャラクターが、部屋のいたるところに設置したモニターや、携帯などのタブレット端末にあらわれ、生活をサポートしてくれるものがよいのではないかということで意見がまとまることとなった。

Sayaka Hirano

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