1995年7月15日に公開されたスタジオジブリのアニメCHAGE & ASUKAの曲に対する音楽映画作品。地上が放射能に汚染され人間が住めなくなった後の地下世界が描かれた作品。おそらく人間を含む全ての生物が地上から消滅し、人間は地下世界で近未来的な生活を営んでいる。設定や出てくる建物、乗り物はSF的であるのだが、主人公たちの仕事以外のオフの場面では、居酒屋のような場所であったり、タバコを吸いながらパソコンの画面を見ていたりと、現在の生活と同じような描写を残されている。物語自体は警官である主人公たちが、一人の羽の生えた少女を助けるため主人公たちが奮闘する、というものなのだが、少女を発見するシーンや脱走を試みるシーンなどが何度も繰り返され、パラレルワールド的な世界観が表されている。宮崎駿監督はチェルノブイリ原発事故を受けてこの作品を発表したようだが、３１１の東日本大震災後の世界からこの作品を改めて見ると、「On Your Mark」という題名が響いてくる。サイエンスフィクションとしてこれまで描かれてきた世界が容易に現実になりうる、という警鐘を鳴らした作品であると私は感じた。台詞が一切なく見る人によって様々な解釈ができる作品なので、物語のあらすじや解釈に多くは語らないでおくが、是非一度観てほしい。